
結婚20年以上の夫婦が利用できる「贈与税の配偶者控除(通称:おしどり贈与)」は、自宅を配偶者へ贈与する際に税負担を軽減できる制度です。ただし、贈与税が安くなっても相続税対策として有利とは限りません。
夫婦で住んでいる自宅(名義はすべて夫)を、結婚25年を経過したことを機に、贈与税の配偶者控除(以下、配偶者控除)を利用して妻に名義を変更したいと考えています。
この方法にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
配偶者控除を使えば贈与税は抑えられると思いますが、要件を満たせなかった場合のリスクや、将来の相続まで含めて本当に得になるのかが気になっています。
贈与税を抑えられる一方で、相続税対策として必ずしも有利になるとは限りません。将来の相続や名義変更コストも含めて判断することが大切です。主なメリット・デメリットは詳細解説でご確認ください。
@ 贈与税を大きく抑えられる
婚姻期間20年以上の夫婦が居住用不動産またはその取得資金を贈与する場合、最大2,110万円まで贈与税がかからない可能性があります。
A 自宅を配偶者名義にできる
長年連れ添った配偶者へ自宅を移転できるため、将来の生活基盤の確保につながります。
B 相続税対策の選択肢の一つとなる
贈与した居住用不動産のうち配偶者控除の適用を受けた控除額相当額は、相続税の課税価格への加算対象とならず、相続税対策として活用できるケースがあります。
@ 要件を満たさなければ適用できない
婚姻期間や居住要件などを満たし、贈与税の申告を行う必要があります。
A 相続税が必ず減るわけではない
配偶者が相続により財産を取得した場合には、相続税が軽減される配偶者の税額軽減が適用できる場合があります。また、自宅を相続した場合には小規模宅地等の特例が利用できる場合もあるため、生前贈与が必ずしも有利とは限りません。
B 妻が先に亡くなると効果が薄れる場合がある
妻が先に亡くなった場合、自宅を夫が再び相続し、結果として名義が戻るケースがあります。
C 名義変更コストがかかる
贈与による登録免許税は固定資産税評価額の2%ですが、相続の場合は一般的に0.4%です。また、不動産取得税は贈与による取得では課税される一方、相続による取得では原則として課税されません。そのため、名義変更に伴う税負担は贈与の方が大きくなる傾向があります。
- 配偶者控除の要件を満たせるか
- 一次相続・二次相続まで検討しているか
- 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を考慮したか
- 名義変更コストに見合うメリットがあるか
なお、夫婦で共有名義にしておくと、一定の要件のもとで自宅売却時の3,000万円特別控除を夫婦それぞれが利用できる可能性があります。そのため、相続税だけでなく将来の売却予定も含めて検討しましょう。
贈与や相続についてお悩みの方は、当事務所へお気軽にご相談ください。
<参考>
国税庁
「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」
「No.4158 配偶者の税額の軽減」
「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
「No.7191 登録免許税の税額表」
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