おすすめ情報

文書作成日:2026/09/05
相続で契約者変更をした生命保険の税金

相続により生命保険の契約者を変更した場合、相続税と将来受け取る満期保険金の所得税はどうなるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 亡くなった父の相続手続きにあたり書類を整理していたところ、養老保険(契約者=父、被保険者=私)を見つけました。2年後に満期保険金(500万円)が支払われる契約で、保険料は全期前納により父が負担していました。
 保険会社に確認したところ、契約者を父から私へ変更して引き継ぐ手続きが可能とのことで、契約者変更を行いました。この生命保険は父の相続においてどのように扱われるのでしょうか。
 また、私が満期保険金を受け取る際の税金はどうなるのでしょうか。

【契約内容】
  • 保険種類:養老保険
  • 保険金額(死亡・満期):500万円
  • 保険期間:10年(残2年)
  • 保険料払込:全期前納(全額父負担)
  • 契約者:父(引き継ぎ後:私)
  • 被保険者:私
  • 死亡保険金受取人:父(引き継ぎ後:私の配偶者)
  • 満期保険金受取人:父(引き継ぎ後:私)
A-1
ワンポイントアドバイス

 相続開始時点で保険事故(被保険者の死亡)が起きていない場合、当該生命保険は「生命保険契約に関する権利」として相続税の対象になります。また、相談者様が受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。

A-2
詳細解説
1.契約者と被保険者が異なる契約で、契約者が先に死亡した場合

 契約者と被保険者が異なる生命保険において、保険期間中に契約者が死亡した場合、契約者変更を行い、新しい契約者が権利を引き継ぎます。

 今回も、お父様が亡くなった後に相談者様へ契約者変更されているため、相談者様が契約上の権利を引き継いだものとして扱われ、相続税が課されます。

2.引き継いだ生命保険は何として評価される?

 今回のポイントは「保険事故が起きていない」という点です。そのため、相続時点では「死亡保険金」を受け取るのではなく、「生命保険契約に関する権利」として評価されることになります。

(1)評価の考え方

 相続税の評価額は、原則として、契約者が亡くなった時点の解約返戻金の額となります。

(2)加算・控除が入るケース

  • 全期前納で未経過保険料がある場合:解約返戻金に未経過保険料が加算されます
  • 配当金がある場合:配当金も評価額に含められます
  • 源泉徴収されるべき所得税相当額がある場合:その金額は控除されます

(3)死亡保険金の非課税枠は使える?

 死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、被相続人の死亡を保険事故として支払われる死亡保険金(みなし相続財産)に対して適用されます。今回のケースはこれに該当せず本来の財産となるため、死亡保険金の非課税枠は適用できません。

3.満期保険金を受け取る際の税金

 将来において相談者様が受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一となるため、所得税(一時所得)の対象になります。

 また一時所得の計算においては、相続で引き継いだ保険であっても、引き継いだ契約者が当初から保険料を負担したものとして扱われます。

4.申告漏れに注意

 契約者が先に亡くなり、保険事故が起きていない段階では、相続税の申告漏れが生ずることがあります。そのため、税務署が情報を把握できる仕組みとして、一定の死亡による契約者変更について、保険会社から税務署へ支払調書を提出することとなっています。

 ご遺族としては、契約者変更や相続時の申告要否などを見落とさないことが重要です。

 相続に関してお悩みの場合は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。


お問い合わせはこちらから